2021.06.07
習い事Q&A 小川真吾

子どもの習字教室は何歳から始めるのがおすすめ?書道の魅力や段位の仕組みを解説

子ども向けの習字教室ではどんなことをするの?習字と書道は違うの?「正しい美しい愛の習字」を理念とする公益財団法人日本習字教育財団(以下、日本習字)の葛西 孝章(かさい・たかふみ)理事長にお話を聞きました。

今日のポイント

  1. 習字は唯一学校の授業で学ぶ日本の伝統文化
  2. 習字を始めるなら小学1年生前後からがおすすめ
  3. 基本線の練習などから徐々にレベルアップ
  4. 習字は海外でもすぐに見せられる日本文化
  5. 始める時に必要なのは習字道具一式だけ
  6. 教室選びは先生との相性や教室の雰囲気も重要
  7. 作品を見て、褒めて、大切に取っておくことが大事

習字は唯一学校の授業で学ぶ日本の伝統文化

習字は、日本を代表する伝統文化の一つです。漢字の発祥は中国からですが、独自の文化を形成し、高めてきた歴史があります。

習字・書道は、どんなもの?

A.習字は昔から親しまれてきた日本の伝統文化のひとつです。国際化が進む今、いかにして自分の国の文化を知り、語るかを考えたときに、習字・書道は大切な役割を担っていると考えています。

海外に行くと現地の人に良く聞かれるのは、文化や食べ物の話です。日本には、茶道や華道、空手、柔道、剣道と様々な伝統文化がありますが、習字もそのひとつです。中でも、毛筆は学校で必修化されています。

どんな歴史があるの?

A.漢字は中国発祥ですが、日本は書の文化を独自に高めてきました。

日本は、漢字から独自にひらがなを生み出しました。江戸時代には寺子屋で論語や書道が学ばれ、1971年には小学校で毛筆書写が必修化されるなど、書道教育を大切にしてきた歴史があります。そのため、現代に置いても習字教室が数多く存在しているのだと思います。参考として、日本習字では全国に約1万500の教室があります。

習字と書道に違いはあるの?

A.明確な答えはなく、分けて考える必要はありません。

学校教育において書写とは「文字を正しく整えて書く」ということを目標としていますが、書の活動を示す言葉が習字だと考えます。強いて言えば、習字のほうが生涯学習としても身近で、書道は個性や表現が加わった芸術的な要素が多く含まれます。難しく考える必要はありません。

習字教室を始めるなら小学1年生前後がおすすめ

毛筆の授業が始まる小学校3年生より前に始めると良いでしょう。早いほうが長続きしやすくなります。

何歳から習い始めたら良いの?

A.小学校1年生前後から始めておくと長続きする傾向にあります。

日本習字でいえば、習字教室に通い始めることが多い学年は小学1年生です。小学3年生から学校で毛筆の授業が始まるため、低学年のうちから興味を示される保護者は多くいらっしゃいます。未就学や小学1年生の時から始めておいたほうが、正しい筆や鉛筆の持ち方が身につき、より成長を感じられ、長続きする傾向にあります。

未就学でも習えるの?

A.小学生未満では、年長さんが多く、もっと小さい子もいます。

教室によって受け入れ対象年齢は異なりますが、早いところで満年齢5歳頃からの指導が行われています。年長の子が始めた後に、その弟や妹が興味を持って始めたということもあります。興味があれば、鉛筆に慣れたり、塗り絵をしたりするところから始めても良いと思います。まずは教室の先生へ相談ください。

硬筆と毛筆のどちらを先に始めた方が良いの?

A.どちらが良いということはありませんが、保護者は子どもに硬筆の上達を求める傾向が強く、子どもは筆(毛筆)を楽しむ傾向にあります。 

毛筆は文字を書く上で重要な始筆や終筆、止めや払いなど文字の点画が正しく理解でき、楽しみながらしっかりと上達ができます。日本習字の教室では毛筆と硬筆を一緒に始められます。

何歳まで習うものなの?

A.中学生や高校生、大学生、社会人になっても学び続ける方が多数おられます。

中学生までの場合、生徒部の最高段位である「生徒部八段位」の合格を目標に続ける方が多くいらっしゃいます。また、高校生以上の場合、目標の段位を決めたり、師範の免許状の資格を目指したりする方が多いです。いつまで続けるかは人ぞれぞれですが、目標がある方は先生とのつながりが深くなり、数十年続けている方もおられます。

教室に通わなくても学べるの?

A.通信教育でも学べますが、対面指導に勝るものはありません。

日本習字では教室に通わなくても通信教育で学習できます。通信教育は、毎月、日本習字から届いた教材(お手本)を学習して作品提出すると、添削・審査(段級位認定)されたものが返ってくる仕組みです。子どもに習字を習わせたいと考える保護者は、文字の上達だけでなく、しつけを求める方もおられます。そのことから、教室で得られる対面指導に勝るものはないということをご理解いただけると思います。

習字教室のカリキュラムは、筆の持ち方や基本線の練習など徐々にレベルアップ

習い始めの方は基本線から練習し、ひらがな課題や小学校で習った漢字を書くところから学習します。そして、徐々に難しい課題に取り組んでいきます。

どんなことを習うの?

A.毛筆や鉛筆の持ち方から筆順、美しい文字の形などを学ぶだけでなく、しつけも身につきます。

習い始めの子どもに対して、まず習字教室の時間が楽しくなるように先生は努めます。教室では毛筆や鉛筆の持ち方や文字の上達だけでなく、正しい筆順を覚えて漢字にも強くなります。なお、これは習うものではありませんが、教室に通うことで挨拶をすることや靴を揃えること、正しい座り方・姿勢・授業態度、しつけも身につきます。

A.小さな子は、文字が半紙にバランス良く収まるように書くところから始めます。

小さな子は、例えば半紙に「はる」と2文字書いた時に「は」が大きくなってしまうこともあります。まずは2文字が半紙の中にきちんと収まり、次に各文字のバランス・大きさを意識するところから少しずつ学習していきます。

A.毎月毛筆・硬筆それぞれの課題に取り組み、3~4回の学習で清書をしていきます。

教室に通う回数は1ヵ月に3~4回が多く、限られた時間の中でそれぞれの課題に挑みます。先生の指導を受け、添削されたところをおさらいし、また書くという練習を繰り返し、清書作品を仕上げていきます。

A.基本的には書くことの繰り返しです。年齢によって難易度が変わります。

日本習字では、文科省で定められた学年別漢字配当表に基づいて小学校で習う漢字とひらがな、カタカナを課題に学びます。課題の文字数は2文字から次第に4文字に増え、学年が上がるにつれて難易度も上がり、難しい漢字にも挑戦していきます。

A.毛筆課題の紙のサイズが変わることもあります。

日本習字において、例月の毛筆課題は半紙ですが、「全国競書大会」では画仙紙課題(半紙より文字も紙も大きい課題)に挑戦します。年に2回の大会なので、みなさん力が入るようです。

段位はどういう仕組みなの?

A.団体によって審査基準や最高段位設は違います。

日本習字では、日本習字が定める審査基準によって昇級・昇段を判断します。小さな子が始めたばかりのときなら、紙面に収まるように書けたら昇級することもありますが、始筆や終筆、止めや払い、跳ねなどの細かなところと全体のバランスなども同時に見ながら、徐々に難易度が高まっていきます。最高段位取得には長い年月がかかりますが、昇段・昇級した人の喜びはかけがえのないものです。

(編集メモ)
日本習字の生徒部は十級から始まり、最高八段位までです。

習字の魅力は、絶対評価であり、どこに行っても文化を語れること

習字は、どこに行っても自分の国の文化を語ることができる魅力ある習い事です。礼儀作法や集中力も身につき、様々なところをアピールできる個性になるでしょう。習字を学ぶメリットについて5つ紹介します。

①習字は心を解放できる習い事です。

習字は絶対評価です。学習塾やスポーツ教室のように、点数やタイムで相対評価され順位がつく習い事ではありません。長く通えば、教室は心の拠り所となり、受験を控えた中学生が「ちょっと30分書かせて欲しい」と気分転換に教室へ来ることもあります。先生は遠くにいる親戚よりも親しい存在なのかもしれません。

②どこに行っても日本の文化を語れます。

今後はグローバル化が進んで諸外国の方との接点が増え、海外へ行かことも多くなるでしょう。その際、日本について質問を受ける機会がきっとあります。日本の伝統文化に1つでも触れていることが、自分のことを知ってもらう機会に繋がり、最大のコミュニケーションツールになります。習字を習うメリットは単に文字の上達だけではありません。

③礼儀作法が身につき姿勢も良くなります。

習字教室に行くと、挨拶をして、靴を揃えて玄関を上がり、先生へ「よろしくお願いします」と言って習字を始めます。教室に通っているうちに礼儀作法が自然と身につくので、小さな子もだんだんと立ち居振る舞いがしっかりとしてきます。習字教室に通わせる副次的な効果ともいえるのではないでしょうか。

④スポーツと同様に集中力がつきます。

プロスポーツで活躍されている一流の選手には、幼少期から習字を学び、書道教室の先生になれる「師範免許」を持っている方もいます。習字で培われた集中力がスポーツにも繋がったのではないでしょうか。習字の学習は文字の上達だけでなく、あらゆることに良い影響があると思います。

(編集メモ)
例えば、プロゴルファーの渋野日向子さんは、中学生までを対象とした書道教室で先生になれる「中等師範」という免許を持っています。

⑤習字の技能は必ず身につきます。

日本習字で中学生までが受験できる最高段位の八段に合格すれば、高校進学の内申書にも記述され優位になります。展覧会などで入賞すれば自信もつきます。ある生徒が優秀な賞を取った時に、学校から「どれだけ素晴らしい賞ですか?」と問い合わせがあったこともあります。推薦入学が増えている今だからこそ、自分をアピールできるポイントが優位に働きます。願書や履歴書が手書きであることも習字を習い続けてきたことを示せるポイントのひとつです。

必要な準備は、習字道具一式だけ

必要な準備は、習字道具だけ。多くの場合教室で購入することができ、5000円前後で購入できます。

習字教室に通う時は何を準備すれば良いの?

A.習字道具(毛筆・硬筆)が一式あれば特に準備するものはございません。

毛筆であれば筆(半紙用・なまえ用)、硯、墨液、文鎮、下敷きなどが必要で、硬筆であれば鉛筆と下敷きなどが必要です。日本習字では毛筆用の習字道具一式セットを4400円(税込み)で販売しております(※会員様限定)。なお、教室によっては新規入会キャンペーンを実施しており、入会時に習字道具一式を進呈する場合もあります。

(編集メモ)
日本習字の習字セット内容は、小学観峰/なまえ観峰/習字セット用固形墨/ミニ墨ちゃん(110CC)/習字セット用合成硯/検定半紙用ラシャ下敷き/半紙用文鎮(緑)/学生筆巻き(緑)/セット用ケース(透明ふた付)/八角スポイト/習字バッグ(グレー)です。

習い事を始めるための初期費用はどれくらいかかるの?

A.日本習字の場合、初月にかかる費用は1万6000円前後です(会費、月謝、用具代込み)。次の月からは先生への指導料(月謝)として3000~4000円かります。

日本習字の場合ですと学習を始めるには、入会金が1000円、1年の会費が6900円の計7900円かかります。会費は入会月によって月割になります。習字道具のセットは全部揃えて5000円程度です。月謝は教室によって異なりますが、3000~4000円のところが多いようです。

教室選びは、先生との相性や教室の雰囲気も重要

保護者が最も気にされるのは「どんな先生か、教室の雰囲気はどうか、月謝料金はいくらか」です。その他、自宅から教室までの距離や教室の口コミから判断される方が多く、転居されたばかりの方は見学や体験をされてから決める場合も多いです。

教室はどうやって選べばいいの?

A.教室の見学や体験に行きましょう。

教室を決める前に見学や体験に行き、親と子どもと先生の相性を確かめると良いでしょう。教室の先生に厳しさを求める人もいれば優しさを求める人もいます。好みはさまざまです。

子どもによって向き不向きはある? 

A.素質や向き不向きはなく、子どもが習字の時間を楽しめ、好きになれるかどうかがポイントになります。

習字教室の雰囲気になじむか、習字に興味を待ってくれるかどうかが大切です。ベテランの先生は習字を好きになるように導く方法を知っています。先生とのコミュニケーションも大事だと思います。

どんな子が長続きしますか??

A.目標を持つようになれば長続きする傾向にあります。

目指している段位がある子どもや手本通りに書きたいと思う子ども、先輩のようになりたいと目標を持った子どもは長く習字を続ける傾向にあります。良いライバルに出合った方も同じです。しかしながら、保護者が子どもの習い事に関心を持って接することが一番効果をもたらします。子どもの昇級や昇段、入賞した際は大いに褒めてあげて、成長をしっかりと見守ってください。

保護者が自宅でできるサポートは、作品を見て、褒めて、大切に取っておくことが大事

書いた作品を褒めることはもちろん、子どもが持ち帰った作品を見る機会を増やしたり、保管して振り返りができる環境を整えたりすることで、子どものモチベーションを高めることができます。

保護者はどうサポートしたらいいの?

A.保護者は子どもの書いた作品に注目しましょう。

子どもが書いた作品に向き合うことがとても重要です。保護者は毎週書いたものを是非見てあげてください。昇級・昇段した時には成長を褒めてあげるとやる気につながります。合格作品や貰った賞状を自宅の目立つところに飾っても大いに喜ぶでしょう。ある先生は、書いた作品を家の冷蔵庫に磁石で貼るように指導しています。そうすれば保護者は必ず見ます。習字を通した親子のコミュニケーションも習字の大きな効果です。

A.作品を保管して成長を伝えることも大事です。

これまでに書いた作品を、きちんとファイリングして保管する保護者もいます。1年でどれだけ上手くなったのかを自覚できるので、やる気につながります。保護者目線でしっかりと成長を感じれば、そのことを子どもに伝えてあげてください。ますます上達するでしょう。

A.書き初め大会などで、ぜひお子さんが真剣に取り組む姿を見てあげてください。

子どもが真剣に文字を書く姿を見る機会は意外と少ないです。習字は自宅で復習することもほとんどありません。作品を見て「本当にこの子が書いたのですか?」と驚く保護者もいるほどです。日本習字ではギャラリーの前で文字を書くイベントとして書き初め大会を毎年開催(2020年はオンラインにて開催)しており、参加をお勧めしております。子どもの真剣に取り組む姿にとても感動されること間違いないです。

【プロフィール・葛西 孝章(かさい・たかふみ)】

公益財団法人日本習字教育財団理事長。1953年、西日本書道通信学会(現、日本習字教育財団の前身)が福岡県柳川市で創立。創立者・原田観峰(はらだかんぽう)が提唱した「正しい美しい愛の習字」を理念とする書道団体です。多くの方が書に親しみ、書の魅力を感じられるよう書道教育活動を行っています。全国に1万500の教室があり、30万人が日本習字で学んでいます。

画像提供:公益財団法人日本習字教育財団

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小川真吾
小川真吾

1985年生まれ。千葉県出身。ウェブメディア運営企業で、編集ディレクターやクリエイティブディレクターを経験した後、2019年に朝日新聞社へ入社。小学生のころは山遊びやサッカーに夢中でした。趣味は、音楽、映画、写真、料理などです。

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