満3歳~小学6年生
ガマンの世界から脱却し、純粋にプレーを楽しむ野球チーム

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ガマンの野球から脱却 とにかく楽しむことを重視
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指導者の全てが教員免許やスポーツ指導資格あり
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「脳サイン野球」で、自主的に考える習慣が身につく
あえて難しい「フライ捕球」を練習

キャッチボールの練習中。ミスしても仲間がフォローしてくれる
「城東ベースボールクラブ」は、東京都江戸川区周辺の子どもたちが、楽しみながら野球の技術を身につけることができる学童軟式野球チームです。江戸川区で体育教室を開いていたスタッフらに野球指導の経験があったため、2021年4月に野球チームを結成、土日や祝日に活動を始めました。
指導者は地域のボランティアで、全員が教員免許やスポーツ指導資格を所有。「楽しむ」「上達する」「ストレスフリー」という指導方針のもと、科学的根拠に基づいて選手一人ひとりの技術力アップに努めています。学童軟式野球チームにありがちな保護者のお手伝いも一切なく、大人にとってもストレスフリーな環境です。
初心者のうちはキャッチボール練習から始め、次にバッティング、やがて試合に参加できるようになるまで一歩一歩練習を進めていきます。
従来の野球チームにはない指導法の一つが、初心者のうちから「フライ(高く上がっているボール)を捕る練習」をすること。一般的には、初心者はゴロ(転がってくるボール)を捕る練習から始めますが、このクラブではあえてフライ捕球を積極的に行い、「空間把握能力」を鍛え、将来バッティングをする上でのヒット率を上げることも目指しているそう。もちろん、初心者の子どもが最初からフライを取るのは難しいので、柔らかいボールを使うなど、細かな注意も怠りません。安全に、かつ楽しく成長できる練習環境を整備しています。
「ガマンの野球」から脱却 とにかく楽しむ

フライを捕る練習。チームメイトに声がけしながら、積極的に捕りにいく
対象年齢は未就学の満3歳から小学6年生まで。クラスは初級者から上級者までレベルに応じたグループにわかれています。練習は土日祝日、午前の部・午後の部に分かれており、自由参加型で出欠を取らずに行います。
このクラブでは、コーチが厳しく檄を飛ばしたり、辛い練習をひたすら続けたりする「ガマンする野球」から脱却し、子どもたちが自ら率先して野球に夢中になれる環境づくりに徹しています。
今回取材したのは、午前9時から12時まで行われている全体練習。到着した頃には、すでに3つのグループ(初心者、中級者、上級者)に分かれて練習が始まっていました。
城東ベースボールクラブの特徴の一つに“自由さ”があります。野球チームは練習前に全員が一斉に整列して挨拶するのが定番となっていますが、このスクールでは整列はせず、自由な雰囲気でスタート。指導する側も常に「子どもが自分で考え、行動し、その結果に責任を持つ、それが“自由”」という考え方を大切にしているとのこと。
実際に見学した中級者クラスでは、フライを捕球する際、子ども一人ひとりが「次は僕が捕るね」「次は僕が捕るよ」と声をかけ合い、積極的にボールに向かっていく様子が印象的でした。
楽しく自主的に考えながら野球技術アップ

バッティング練習。専用の器具を使ったり、コーチが投げるボールを打ったりして行う
城東ベースボールクラブでは「脳サイン野球」を実践しています。「脳サイン野球」とは監督やコーチがサインを出さず、選手の考えに全てを任せる「ノーサイン」にひっかけた言葉。このチームにでは、自ら考える習慣を身につけることができます。
実際の練習シーンを見ていると、中級者のみならず、初級者と上級者も同じく、みんな自主的に練習に加わっていました。
初級者クラスでは、ボールをカゴに入れる遊び形式の練習から始め、上級者クラスでは、試合で勝つための戦略を論理的に考えながら、ボールを投げる練習をしていきます。
印象的だったのは、どのクラスの生徒も楽しそうに練習していること。スクールでは、常に飽きさせない工夫を練習メニューの随所に入れており、楽しみながら野球技術が身につくよう指導をしています。
コーチ陣曰く、楽しくする秘訣はその場の盛り上げ方にあるそう。「子ども一人ひとりの成長のプロセスを見つけ、積極的にほめること」を意識しているそうです。
「保護者あっての選手」の考え方を大切に

「子どもたちが切磋琢磨している姿を見ているとうれしい」と話す森糸監督
取材でお話しいただいたのは、代表の森糸法文(もりいと・のりふみ)監督。これまで12年間、学童軟式野球のコーチ兼、監督として指導しており、東京都の大会でベスト16。地域の大会では優勝、準優勝を何度も成し遂げた実績を持ちます。
森糸監督が指導で重視しているのが「プレーヤーズセンタード(選手中心)」という考え方。選手たちと、選手を支える大人たち(コーチ、保護者など)は全員対等であり、「子どもにとって最も身近なコーチは保護者」「保護者あっての選手」の考え方を大切にしています。
保護者と子どもたち両方の自由さを大切にした野球チーム。この“自由”には、森糸監督のある想いが込められています。
「野球というのは、どのチームも自主性や主体性を大事にしているはずなんです。ただそうは言っても、他のチームでは大人が決めたことを子どもたちにやらせているのが現状。例えば全員整列して挨拶をする風習がありますが、別に全員並んでやらなくても、選手一人ひとりはしっかり挨拶できると思うんです。実際うちのチームでは、私の顔を見たら選手たちはみんな、挨拶してくれます。みんなで同じことをやるのがチームワークではありません。“心を一つにすること”がチームワーク。子どもたちも理解してくれているのか、整列など一切やらなくても、生徒たちはみんな仲良しです」(森糸監督)
城東ベースボールクラブの体験会・説明会
費用
無料
概要
体験会形式ではなく、お子さまのレベルに応じた実際のレッスンにご参加いただけます。
城東ベースボールクラブの地図・アクセス
所在地
〒132-0031
東京都江戸川区松島2-3-1 江戸川区立松江第二中学校校庭
アクセス
江戸川区立大杉小学校校庭や近郊グラウンドも使用します。
城東ベースボールクラブの基本情報
教室名
城東ベースボールクラブ
運営者
一般社団法人城東スポーツクラブ
ジャンル
対象となるお子様
満3歳~小学6年生
入会後の費用
入会金 なし
クラブ費 5,000円/月
こだわり条件
マンツーマン / 振り替えあり / 送迎あり / 親子参加あり / 土日あり

親目線でここがうれしい!
今回、城東ベースボールクラブの取材で印象的だったのは、子どものみならず保護者のことまで考えたチーム運営を行っていることでした。少年野球は、保護者の方にお手伝いしてもらうのが一般的ですが、このクラブでは保護者の方にストレスをかけないよう、お手伝い制度を撤廃しているとのこと。代表の森糸監督が一番大切にしている「自由さ」が、まさにチーム全体にあらわれていると感じました。(前田大貴)